ダイオードはアノードとカソードと呼ばれる2つの端子を持ち、電流を一方向 (アノードからカソードの方向、順方向と呼びます) にのみ流す半導体デバイスです。ブレークダウン電圧を超える電圧を印加するなどの特別な場合を除き、逆方向には電流は流れません。1つのpn接合、またはこれに代わる1つの金属・半導体接合などを持つ能動部品です。汎用的なpn接合ダイオードは、エネルギー効率があまり良くないこと (オン時にVFxIFの電力が必要)、スイッチングスピードが遅いことから最近では需要が減少してきていますが、依然として主流の半導体デバイスです。
ダイオードは接合の種類によって大きくpn接合ダイオードと金属・半導体接合ダイオード (ショットキーバリアダイオード) に分けられます。さらに、pn接合ダイオードは、整流ダイオードとツェナーダイオードに分けられます。 (図-1)
ダイオードの種類に関しては以下のFAQにも説明があります。
pn接合ダイオードとショットキーバリアダイオードの簡易構造図と記号を図-2に示します。
記号に関しては、ショットキーバリアダイオードを特別な記号で表示することもありましたが、現在は図に示す記号で統一されています。
pn接合ダイオードの構造は簡易的には図-2 a)で表されますが、n型とp型を張り合わせたように作るわけではなく、n型の基板にp型にする不純物 (ホウ素 Bなど) をイオン注入や熱拡散することでp型の層を形成します。 (p型を基盤として不純物としてリン P などを用いてn型を形成する場合もあります。)
ショットキーバリアダイオードは一般的にn型に金属粒子を蒸着させることで構成されます。p型でもSBDを構成することは可能ですがリーク電流が大きく、一般的な利用は難しいため、n型が使用されることがほとんどです。
冒頭でダイオードは一方向にのみに電流を流すと書きました。この電流の流れる方向を順方向、電流の流れない方向を逆方向と呼びます。これに従って、図に示すように電圧は順バイアス方向と逆バイアス方向と定義されます。
順バイアス方向 (アノード側を+)に電圧を印加し電圧を大きくしていくと、ある電圧で電流が流れ始めます。この電圧は製品によって多少異なりますが、pn接合ダイオードで700mV程度、ショットキーバリアダイオードで200mV程度です。この電圧を順電圧 (VF) と呼びます。また、この時流れる電流を順電流 (IF) 呼びます。
逆バイアス方向 (カソード側を+) に電圧を印加し電圧を大きくしていくと、ある電圧 (ブレークダウン電圧 VR) で急激に電流が流れます。
この電圧も製品によって異なりますが、pnジャンクションダイオードでは数十V~数百V、ショットキーバリアダイオードでは数十Vです。この急激に電流が流れる現象をブレークダウン (降伏) と呼びます。大きな電圧で電流の急激な増加が生じるため、一般的なダイオードでブレークダウンすると、素子の劣化・破壊が生じる可能性があります。このため、この現象を積極的に使用することを目的としたツェナーダイオードやESD保護ダイオードを除き、絶対最大定格の逆電圧 (VR) で規定され使用することはできません。
ダイオードの動作については、FAQ: “ダイオードはどのような動作をしますか?”にも説明があります。また、物性的な説明は、e-learning: “ショットキーバリアダイオードの基礎”に説明があります。
ダイオードは最も単純な半導体素子で、過去いろいろな回路を構成し幅広い用途に使用されてきました。多くの用途はICなどに置き換えられていますが、以下は現在でも良く使用されている用途例です。
クリッパー回路、リミッター回路:
クリッパー回路には順方向クリッパーと逆方向クリッパーがあります。この応用としてリミッター回路があります。この回路は現在でもICの入力保護 (過電圧保護) に使用されています。
ダイオードのパッケージ
ダイオードのパッケージはアノード・カソードの2つの端子を持つ2ピンのパッケージが主になります。当社では超小型から大型まで面実装パッケージを中心として展開しています。ダイオードを複数内蔵した多ピンパッケージもあります。
以下に幾つかの例を示します。
パッケージの寸法などの詳細については、以下のページを参照ください
ダイオードのパッケージ
製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。
* このFAQ内で使用している社名・商品名・サービス名などは、それぞれ各社が商標として使用している場合があります。