MOSFETとIGBTはどのように使い分けるのですか?

IGBTは伝導度変調を利用したバイポーラ-型のスイッチングデバイスで、ユニポーラー型のMOSFETに比べてスイッチングスピードが遅く、特に高温条件下ではターンオフ時間が長くなり、スイッチング損失も大きくなります。ただし、IGBTは伝導度変調により、高耐圧化が容易で低オン抵抗を実現できます。また、高電流および高温条件下でもオン電圧がそれほど大きくならない特長があります。以上のような特性から、IGBTとMOSFETにはそれぞれ長所と短所があり、出力電力と動作周波数の観点から適用範囲が使い分けられます。

  • IGBT: 比較的低スイッチング周波数に対応し、高出力電力のアプリケーションで使用されます。
  • MOSFET: 高スイッチング周波数に対応可能で、比較的低出力電力のアプリケーションで使用されます。

IGBTは高耐圧化しても伝導度変調効果によりオン抵抗を低減できるため、高耐圧・大電流用途に適しています。
高電圧・高電流を扱う電車やHEV/EV、調理家電などでは、IGBTが主流となっています。
これに対し、MOSFETはスイッチングスピードが速く、ターンオフ時にスイッチング時間を遅延させるテール電流がありません。このため高スイッチング周波数が要求されるスイッチング電源ではMOSFETが一般的に使用されます。
このようにIGBTおよびMOSFETは家電や小型の産業機器などの幅広いアプリケーションで使用されており、動作周波数やオン電圧による電力損失のメリットを考慮して使い分けられています。(表1 IGBTとMOSFETの主要アプリケーション例 を参照ください)

伝導度変調効果とテール電流については、以下のFAQを参照ください。

IGBTの用途については、以下のFAQを参考にしてください。

近年、これらの用途に対しワイドバンドギャップ半導体(SiCやGaN)が登場しています。従来のSi MOSFETに対し、高速スイッチングと低オン抵抗特性を実現し、高温環境下での動作に優れています。以下のページを参考にしてください。

表1 IGBTとMOSFETの主要アプリケーション例
スイッチング周波数 ~20kHz 20~80kHz 80kHz~
IGBT 電車、HEV/EV
大容量モーター制御
(汎用インバーター)
産業用機器
産業用ロボット 

大型UPS

 

IGBT
または MOSFET
エアコン・冷蔵庫用
インバーター回路
中容量、小型モーター制御
家電 (扇風機、掃除機)
小型産業機器
ファンモーター
電磁調理器 (IH)  
MOSFET   小型UPS
電動工具
PFC回路
スイッチング電源全般
(DCDCコンバーター)
充電器スイッチング

関連リンク

製品ラインアップについては、以下のページ、ドキュメントをご参照ください。

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IGBT/IEGT

FAQ

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