2.2. 開ループゲインと閉ループゲイン ー使用帯域幅の拡大ー

図 2-3 オペアンプ 開ループゲイン (G<sub>V</sub>) 周波数特性例
図 2-3 オペアンプ 開ループゲイン (GV) 周波数特性例

オペアンプの開ループゲインGVは図 2-3のように1次のRCローパスフィルターと同じ周波数特性を持ちます。DCゲインより3dB低下するコーナー周波数fC以上では6dB/Oct (20dB/Dec) で減少します。この6dB/Octで減少している周波数帯域では、周波数fが2倍になればゲインGVは6dB下がり、開ループ利得AVは1/2になるので、次の関係が成り立ちます。

fc×AV=constant

1倍のゲイン (0dB) となる周波数 (fT) を遮断周波数と呼んでいます。このため、先ほどの式は以下に書き換えることができます。この積のことをゲイン・帯域幅積 (GB積) と呼びます。

fc×AV=fT

但し、この式が成り立つのは6dB/Octの変化をする範囲内であることに注意が必要です。

図 2-4 帰還をかけたアンプ回路
図 2-4 帰還をかけたアンプ回路

ここで、図 2-3の特性を持つオペアンプに仮に2kHz±1kHzの信号をオペアンプに入力する場合を考えます。オペアンプ単体で使用すると、グラフから1kHzと3kHzで約10dBのゲイン差が出てしまいます。通常このままでは使用できません。この問題を解決する手法が負帰還です。

オペアンプは増幅器として使用する場合、通常負帰還をかけて使用すると2-1項で述べました。図2-4に帰還をかけたアンプ回路を示します。

図 2-5 各種ゲインと周波数の関係
図 2-5 各種ゲインと周波数の関係

入力vinと出力の関係は、以下の式で表されます。この関係は閉ループゲインGCL (閉ループ利得 ACL) と呼ばれます。なお、利得AとゲインGの関係は、G=20×log Aです。

Vout/Vin=ACL=AV/ (1+AV×B)
           =1/{B (1+1/AV×B)}

AVは増幅器の開ループ利得、Bは帰還率、AV×Bをループ利得と呼びます。分母の (1+AV×B) は帰還量と呼ばれます。負帰還の場合 AV×B<0です。またオペアンプの場合AVは非常に大きく| AV×B | >>1です。従って、先ほどの帰還量は ( 1 + AV×B ) ≒ AV×B (ループ利得) となります。また、このことから上式は下記のように簡略化することもできます。

Vout/Vin=ACL=1/B

この関係を図で表すと図 2-5のようになります。オペアンプ単体での帯域幅はfCでしたが、負帰還アンプでは閉ループ帯域幅はfCLまで広がっていることがわかります。fCLはGB積の考え方から、以下になります。

fCL=fT/ACL

閉ループゲインGCLや帯域fCLが不足する場合は、よりfTの高い製品を選択する必要があります。

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2章 オペアンプの使い方

2. オペアンプの使い方
2.1. フィードバック(正帰還と負帰還)
2.3. 発振
2.4. 基本的な回路
2.5. 仮想短絡 (仮想接地)

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