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オペアンプの開ループゲインGVは図 2-3のように1次のRCローパスフィルターと同じ周波数特性を持ちます。DCゲインより3dB低下するコーナー周波数 fC 以上では6dB/Oct (20dB/Dec) で減少します。この6dB/Octで減少している周波数帯域では、周波数 f が2倍になればゲイン GV は6dB下がり、開ループ利得AVは1/2になるので、次の関係が成り立ちます。
fc × AV = constant
1倍のゲイン(0dB)となる周波数 fT をしゃ断周波数と呼んでいます。このため、先ほどの式は以下に書き換えることができます。この積のことをゲイン・帯域幅積(GB積)と呼びます。
fc × AV = fT
但し、この式が成り立つのは6dB/Octの変化をする範囲内であることに注意が必要です。
ここで、図 2-3の特性を持つオペアンプに仮に2kHz±1kHzの信号をオペアンプに入力する場合を考えます。オペアンプ単体で使用すると、グラフから1kHzと3kHzで約10dBのゲイン差が出てしまいます。通常このままでは使用できません。この問題を解決する手法が負帰還です。
オペアンプは増幅器として使用する場合、通常負帰還をかけて使用すると2-1項で述べました。図2-4に帰還をかけたアンプ回路を示します。
入力vinと出力の関係は、以下の式で表されます。この関係は閉ループゲインGCL(閉ループ利得 ACL)と呼ばれます。なお、利得 A とゲイン G の関係は、G = 20 x log Aです。
Vout / Vin = ACL = AV / (1 + AV × B)
= 1 / {B (1 + 1 / AV × B)}
AVは増幅器の開ループ利得、Bは帰還率、AV x Bをループ利得と呼びます。分母の ( 1 + AV x B ) は帰還量と呼ばれます。負帰還の場合 AV x B < 0 です。またオペアンプの場合AVは非常に大きく | AV x B | >> 1 です。従って、先ほどの帰還量は ( 1 + AV x B ) ≒ AV x B(ループ利得)となります。また、このことから上式は下記のように簡略化することもできます。
Vout / Vin = ACL = 1/B
この関係を図で表すと図 2-5のようになります。オペアンプ単体での帯域幅は fC でしたが、負帰還アンプでは閉ループ帯域幅 はfCL まで広がっていることがわかります。fCLはGB積の考え方から、以下になります。
fCL = fT / ACL
閉ループゲインGCLや帯域fCLが不足する場合は、よりfTの高い製品を選択する必要があります。