入力信号の立ち上がり時間、立ち下がり時間の規定について

汎用CMOSロジックICの動作を保証するための条件として、データシートに記載している動作範囲で入力上昇・下降時間を提示しています。
出力の発振などによる誤動作を引き起こさないためには、動作範囲内でご使用ください。
立ち上がり,立ち下がり時間の遅い信号が印加された場合,スイッチングなどで発生するスパイク電流によるVccやGNDラインのリップルにより,出力発振や誤動作をすることがあります。

対策としては入力機能としてシュミットトリガーのある製品を使用します。ただし、シュミットトリガーを使用しても、極端に遅い信号の場合、電源ラインや信号に含まれるノイズなどにより発振したり出力が不安定になることがあります。

下表にシリーズ毎の代表製品*1の動作範囲記載の上昇時間・下降時間を示します。参考にしてください。

シリーズ別入力信号上昇時間・下降時間
タイプ シリーズ名 シリーズ番号 ワンゲートロジック
(L-MOS)
相当品
動作電圧範囲
VCC (V)
伝搬遅延時間*1
tpLH, tpHL  (ns)
出力電流*2
IOUT (mA)
上昇時間・下降時間
@3.3 V
上昇時間・下降時間
@5 V

5Vシステム

対応

スタンダード TC40xxB
TC45xxB
TC4S
TC4W
3~18 200
(at 5.0 V)
±0.51
(at 5.0 V)
0~10000 ns *6 0~5000 ns *6
ハイスピード TC74HC TC7S
TC7W
2~6 23
(at 4.5 V)
±4.0 or 6.0
(at 4.5 V)
(±2.0 in the case of TC7S)
0~1000 ns
@2 V
0~500 ns
@4.5 V
TC74HCT TC7WT 4.5~5.5 28
(at 4.5 V)
- 0~500 ns

アドバンスト

TC74AC - 2~5.5 8.5
(at 4.5 V)
±24
(at 4.5 V)
0~100 ns/V 0~20 ns/V
TC74ACT - 4.5~5.5 9.0
(at 5.0 V)
- 0~10 ns/V

ベリーハイスピード

TC74VHC
74VHC
TC7SH
TC7WH
2~5.5 8.5
(at 5.0 V)
±8.0
(at 4.5 V)
0~100 ns/V 0~20 ns/V
TC74VHC9
74VHC9
10
(at 5.0 V)
- *5 - *5
TC74VHCT
74VHCT
TC7SET 4.5~5.5 9.5
(at 5.0 V)
- 0~20 ns/V
TC74VHCV
74VHCV
- 1.8~5.5 8.5
(at 5.0 V)
±16
(at 4.5 V)
0~20 ms/V 0~1 ms/V

低電圧システム

対応

中速 TC74LCX
74LCX
TC7SZ
TC7PZ
TC7WZ
1.65~3.6
(1.65~5.5 in the case of TC7SZ/PZ/WZ)
6.5
(at 5.0 V)
±24
(at 3.0 V)
0~10 ns/V -
高速 TC74VCX 7UL 1.2~3.6
(0.9~3.6 in the case of 7UL)
4.2
(at 2.3 V)
±24
(at 3.0 V)
(±8.0 in the case of 7UL)
0~10 ns/V -

*1:代表製品(TC4001, 74HC244, TC74AC244, 74VHC244, 74VHC9541, (An-Yn) 74LCX244, TC74VCX244)の伝搬遅延時間(Max値 at -40~85℃)です。TC4001のみ25℃のMax値。
*2:出力電流の値は、データシート内のDC特性にて規定されています。これとは別に絶対最大定格でも出力電流を規定しています。
*3:TC7SETシリーズは、出力パワーダウンプロテクション機能はありません。
*4:TC7SZのfSVパッケージ製品は、オープンドレインを除いて、出力パワーダウンプロテクション機能はありません。
*5:入力機能にシュミットトリガーがあるため、規定がありません。
*6:データシートでは規定されていません。設計の目安として参照ください。

CMOSロジックIC 使用上の注意

未使用入力端子の処理について
出力端子の短絡・出力衝突について
CMOS出力端子への負荷容量接続について
消費電流、消費電力の計算方法
入力トレラント機能を活用した電圧レベル変換
パワーダウンプロテクション機能の応用事例(パーシャルパワーダウン)
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