CMOSロジックICの消費電力の計算について
消費電流・電力は以下の2つの観点から考える必要があります。
消費電力は、上記電流にICに印加されている電圧を乗算することで計算できます。
静的消費電力:PS
CMOSロジックは静的な状態(入力される信号がほとんど変化しない状態)では電流がほとんど流れないことが知られています。しかしながら、内部の逆バイアスされたpn接合にはわずかならリーク電流(静的消費電流 ICC)が流れます。この電流に電源電圧をかけたものが静的消費電力になります。
PS = VCC x ICC VCC :ロジックに印加されている電圧、 ICC:データシート記載の静的消費電流動的消費電力
動的消費電力:PL+PPD
動的消費電流は、入力信号が “H” と “L” の状態を遷移するときに生じる電流です。容量の充放電による電流になります。寄生の容量(内部等価容量)と負荷容量の2つを考える必要があります。
この電流にPch-MOSFET、またはNch-MOSFETに印加される電圧をかけたものが動的消費電力になります。
ここでは電力の計算に対して簡易的に最も電流が大きなときのVCCを使用しています。
負荷容量CLによる動的消費電力:PL
右図に示すように外付けの負荷が充放電される時に生じる電力です。
負荷容量に充電される電荷QLは下記になります。
QL = CL * VCC CL:負荷容量
とすると、出力信号の周波数 fOUT ( = 1 / TOUT ) の信号における平均電流ILは以下の式で表されます。
IL = QL / T = CL * VCC * fOUT
従って、電力PLは
PL = VCC * IL = CL * VCC^2 * fOUT
複数の出力があるなら下記となります。
PL = VCC^2 * Σ ( CLn* fOUTn )
等価内部容量CPDによる動的消費電力:PPD
右図に示すようにCMOSロジックICには色々な寄生容量があります。これらの容量を等価的に表した容量がCPDです。(実際にはCPDは無負荷の状態で比較的高い周波数(1MHz)を用いて、消費電力から逆算して求めています)
ICの等価容量で消費される電力で、PLと同様に考えることができます。
但し、使用する周波数は入力の周波数fINになります。
PPD = VCC * IL = CPD * VCC^2 * fIN
従って総消費電力PTTLは静的消費電力PSと動的消費電力(PL + PPD)の和で表されます。
PTTL = PS + PL + PPD