3-17. IGBTの動作

IGBTを図3-14(a)の配線をした場合での動作を以下説明します。
(1) ゲートに正電圧が印加されておりゲート直下のp層に反転層が出来、通常のNch MOSFETと同様に図3-14(b)のNch MOSがオン状態となります。
(2) Nch MOSがオン状態になるとコレクター電極が+電位で有るため、コレクター側のp+層からn+層を経由してn-層に正孔(ホール:+電荷)が注入され、この注入された正孔によりエミッター側からの電子の注入が加速されます。
(3) その結果、本来高抵抗層であるn-層における電子・正孔量すなわちキャリア量が増加しn-層の抵抗値を下げる働きをします。(伝導度変調) これは、図3-14(b)に示すようにオン抵抗が変化するNch MOSとして動作します。

IGBTの動作
図3-14(a) IGBTの動作
IGBTの等価回路と実動作上の回路イメージ
図3-14(b) IGBTの等価回路と実動作上の回路イメージ

第3章 トランジスター

3-1. トランジスターの種類
3-2. バイポーラートランジスター
3-3. 抵抗内蔵型トランジスター
3-4. JFET
3-5. MOSFET
3-6. BJTとMOSFETの動作
3-7. MOSFETの構造と動作
3-8. MOSFET:RDS(ON)の決定要因
3-9. MOSFET:低RDS(ON)
3-10. Super Junction MOSFET
3-11. MOSFETの構造別特長
3-12. MOSFET:ドレイン電流と許容損失
3-13. MOSFET:アバランシェ耐量
3-14. MOSFET:容量特性
3-15. MOSFET:安全動作領域(SOA)
3-16. IGBT
3-18. IGBT:縦方向デザインの進化
3-19. RC-IGBT/IEGTとは
3-20. IGBTの応用機器
3-21. IGBTとMOSFETの比較
3-22. 各トランジスターの比較まとめ
3-23. MOSFET:最大定格
3-24. MOSFET:電気的特性
3-25. MOSFET:容量・スイッチング特性
3-26. MOSFET:ボディーダイオード

関連情報