3-8. MOSFET:RDS(ON)の決定要因

(1) MOSFETは、要求される耐圧によりデバイス構造が選択されます。例えば、中高耐圧製品(250V以上)はプレーナゲート構造(π-MOS)、200V以下の低耐圧製品はトレンチゲート構造(U-MOS)の製品が多くなっています。
(2) オン抵抗RDS(ON)を決定する要因は、図3-7および式3-(1)に示す通りで、デバイスの構造・耐圧によりRDS(ON)を決定する因子の比率が変化します。π-MOSの場合、VDSS=600Vの製品はRdriftが支配的となり、30Vの製品はRch+RJ-FETの比率が高くなりますので、図3-7(b)に示すU-MOS構造の採用によりこの値を大幅に低下させています。

RDS(ON)=Rsub+Rdrift+RJ-FET+Rch+RN+  --- 式3-(1)a

RDS(ON)= Rsub+Rdrift+Rch+RN+    --- 式3-(1)b

VDSS=600Vの場合:Rdrift >> Rch > RJ-FET , RN+ , Rsub   ⇒ RdriftでRDS(ON)は決定されます。
VDSS=30Vの場合:● π-MOS --- Rch+RJ-FET>Rdrift>>Rsub、RN+   ● U-MOS --- Rch≈Rdrift>>Rsub、RN+ 

            ⇒ U-MOS構造による微細化でRchが大幅に低下し、RDS(ON)を下げる事が出来ます。

第3章 トランジスター

3-1. トランジスターの種類
3-2. バイポーラートランジスター
3-3. 抵抗内蔵型トランジスター
3-4. JFET
3-5. MOSFET
3-6. BJTとMOSFETの動作
3-7. MOSFETの構造と動作
3-9. MOSFET:低RDS(ON)
3-10. Super Junction MOSFET
3-11. MOSFETの構造別特長
3-12. MOSFET:ドレイン電流と許容損失
3-13. MOSFET:アバランシェ耐量
3-14. MOSFET:容量特性
3-15. MOSFET:安全動作領域(SOA)
3-16. IGBT
3-17. IGBTの動作
3-18. IGBT:縦方向デザインの進化
3-19. RC-IGBT/IEGTとは
3-20. IGBTの応用機器
3-21. IGBTとMOSFETの比較
3-22. 各トランジスターの比較まとめ
3-23. MOSFET:最大定格
3-24. MOSFET:電気的特性
3-25. MOSFET:容量・スイッチング特性
3-26. MOSFET:ボディーダイオード

関連情報