MOSFET:RDS(ON)の決定要因

(1) MOSFETは、要求される耐圧によりデバイス構造が選択されます。例えば、中高耐圧製品(250V以上)はプレーナゲート構造(π-MOS)、200V以下の低耐圧製品はトレンチゲート構造(U-MOS)の製品が多くなっています。
(2) オン抵抗RDS(ON)を決定する要因は、図3-7および式3-(1)に示す通りで、デバイスの構造・耐圧によりRDS(ON)を決定する因子の比率が変化します。π-MOSの場合、VDSS=600Vの製品はRdriftが支配的となり、30Vの製品はRch+RJ-FETの比率が高くなりますので、図3-7(b)に示すU-MOS構造の採用によりこの値を大幅に低下させています。

RDS(ON)=Rsub+Rdrift+RJ-FET+Rch+RN+  --- 式3-(1)a

RDS(ON)= Rsub+Rdrift+Rch+RN+    --- 式3-(1)b

VDSS=600Vの場合:Rdrift >> Rch > RJ-FET , RN+ , Rsub   ⇒ RdriftでRDS(ON)は決定されます。
VDSS=30Vの場合:● π-MOS --- Rch+RJ-FET>Rdrift>>Rsub、RN+   ● U-MOS --- Rch≈Rdrift>>Rsub、RN+ 

            ⇒ U-MOS構造による微細化でRchが大幅に低下し、RDS(ON)を下げる事が出来ます。

第3章 トランジスター

トランジスターの種類
バイポーラートランジスター
抵抗内蔵型トランジスター
JFET
MOSFET
BJTとMOSFETの動作
MOSFETの構造と動作
MOSFET:低RDS(ON)
Super Junction MOSFET
MOSFETの構造別特長
MOSFET:ドレイン電流と許容損失
MOSFET:アバランシェ耐量
MOSFET:容量特性
MOSFET:安全動作領域(SOA)
IGBT
IGBTの動作
IGBT:縦方向デザインの進化
RC-IGBT/IEGTとは
IGBTの応用機器
IGBTとMOSFETの比較
各トランジスターの比較まとめ
MOSFET:最大定格
MOSFET:電気的特性
MOSFET:容量・スイッチング特性
MOSFET:ボディーダイオード

関連情報